龍神×紅蓮


そこで気付く。


光輝の体が少し震えている事に…


「勝手だって分かってる。でもこれが俺達にとって一番良い事だと思って」


「監禁するほど好きな人と一生会わない事に、何のメリットがあるの」


「…っ」


光輝は、ばっとあたしを少し離すと、驚いた表情をする。


今の言葉のどこに驚く要素があっただろうか…


「希が、喋った…」


あたしを何だと思ってるのよ。


まぁ、ここに来た日以来、光輝とは一切会話をしていない。


ただ一方的に光輝が話しかけて、勝手に解釈して話を進めていく。


本当に、あたしは人形と化していたんだ。


そして、嬉しそうに笑った光輝はもう1度あたしを抱きしめた。


「その人との将来は何も無いのに、願い続けても無駄でしょ?それなら、少しでも可能性のある方に進まないと」


分かりやすく言うと…


好きな人は一生自分には振り向いてくれない。


だったら、違う人を好きになって、好き同士になって、幸せになりたい。


って事なんだろう。


「本当に勝手だね」


「うん。いい加減、希離れしようと思って」


光輝はゆっくりとあたしの体を離すと、寂しそうに笑った。


「希以上の女なんているのかな」


「難しいかもね」


何て言って、2人で笑いあっていた。

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