龍神×紅蓮
終章
かけがえのない存在
悠司が手配していた車で本家に戻って来たあたし達は父さんの部屋に向かっていた。
組員達は後処理のためあの場に残り、龍神のみんなは倉庫へと戻って行った。
蓮華達とは、明日病院に行くと約束させられ、あの場で別れた。
コンコン
「入れ」
中に入ると、父さんと翠さんがいた。
2人共あたしの顔を見ると安心したような表情を浮かべた。
「勝手な事して、心配かけてごめんなさい」
目の前に行って、あたしは深く頭を下げた。
すると、頭の上に温かな重み。
ゆっくり頭を上げると、それは父さんの手だった。
その手は、優しく左右に動いた。
「おかえり、希」
あたしはその言葉に目頭が熱くなった。
そのまま父さんの胸に飛び込み、溜まっていた分を全て吐き出した。
しかし、吐き出した後には、その温もりに包まれたまま、眠ってしまった。