龍神×紅蓮
「ふーん、まぁいいや。行くぞ」
ふぅ…
女嫌いの洋介で良かったのかもしれない。
他の奴らだと無駄に詮索してきそうだし。
「うん」
とはいえ、あたしも女だ。
バイクに乗せるのも嫌だろう。
なのに、腰に手を回しでもしたら余計嫌われてしまうかもしれない。
まぁ、どこも持たなくても大丈夫だし、持たなくてもいっか。
……って思っても、一向に出発しない。
「洋介、行かないの?」
「どっか掴まれ、落ちるぞ」
え…
待ってくれてたの?
でも、
「あたし女だよ?大丈夫?」
無理しなくてもいいんだよ?
「………………だよ!」
「え?」
前向いて喋ってる洋介の声は、後ろにいるあたしには届かない。
「お前なら大丈夫って言ってんだよ!」
軽く振り向きながら言うその顔は少し赤くなっていた。
っ…
洋介……
「ありがと」
あたしは、ゆっくりと肩に手を置いた。
思わず肩を震わす洋介だけど、行くぞってもう1度言うとエンジンを吹かした。