ある日、パパになりました。
「今日は原稿の進行状況の確認と今後の予定の連絡」
「ん、そんなことならいつもみたいにメールや電話で良かったんじゃないのか?」
いつもなら、こんな業務連絡はメールや電話なのに、何かあったのだろうか、と考えていると、アリスは顔を赤く染めながら、
「優羽ちゃんに会いたかったんだよぉ・・・・・・最近、忙しくて顔合わせる機会なかったから」
ああ、そういう事か。アリスの中の俺成分が尽きかけている、いや、尽きているということか。それじゃあ、しかたないな。うんうん。
「まあ、いいや。そうだな、原稿は順調だな、今のところ。それで、連絡って?」
「うん、それね。来週、編集部に顔出しに来てだって、編集長が」
編集部という言葉を言ったと同時に優羽の顔が険しくなっていく。そして、ポツリと、
「編集部。はぁ〜行きたくないなぁ、アリス、それって強制?」
「もう、何言ってるの!そんなの当たり前じゃない。副編がいない時に来ていいから!ってか、その日に呼ぶから」
「あ、じゃあ、行く!」
ちょっと、あなたは目上の人をなんだと思っているんですか。それに、どうして副編集長さんがいるとダメなんですか?
「まぁ、副編の木山さん、私も苦手だけどね」
と、アリスは舌を出していたずらっぽく笑う。あなた達ねー!まぁ、いいですよ、嫌いな人や苦手な人の一人や二人いるのが普通ですもんね!
「アリス、お前今日まだ帰らなくてもいいのか?」
アリスが来てから早くも2時間程経とうとしていた。いつもなら、もう帰っている時間帯なのだが・・・・・・やはり何か変だ。
「えっ、もう、そんな時間!?」
そう言って、慌てて左手にはめている腕時計を見る。あ、俺が成人式の後にプレゼントしたやつだ。使ってくれてるんだ。選ぶの大変だったな〜。
「腕時計まだ使ってくれてるんだ」
「うん、デザインとか好きだから・・・・・・それに優羽ちゃんがくれたものだし、一生の宝物だよ」
「ん、最後の方なんて言ったんだ?」
「ううん、何でもない。そうだね、うーん、もっと優羽ちゃんといたいけど、さっきから咲ちゃんの視線が冷たいから今日はもう帰るね」
そう言って、バッグを持って玄関の方に歩いていく。
「駅まで送ろうか?」
まだ四月の5時は明るいとはいえ、女の子を一人で帰らせるのは危ない気がすると思いそう言うと、
「えっ、本当に!?いいの!?」
あまりに素直な返事に、
「う、うん。だって1人じゃ危ないだろ?」
と返しながら、咲の方を見るとすでに上着を着てきて、手には俺のお気に入りの黒のパーカーを持っていた。あ、地味とか言うなよ!黒が好きなだけだからな!そのパーカーを受け取って、
「咲、ありがとうな」
そういいながら、咲の頭を無造作に、しかし、優しくなでる。顔を赤く染めてうつむいてしまった咲を見て、素直な感謝になれてないのかな、と思いつつ、
「じゃあ、行こっか」
と咲の手をとって、アリスと一緒に部屋を出た。
外に出てみると空気はまだ暖かく、そして、明るい。空はオレンジ色に染まろうとしていた。駅に向かう道を歩きながら、道沿いに植えられた桜が散って葉桜だなーとか夕日が綺麗だなーなんて考えていると、隣から、
「なんだかこうやって歩いていると家族みたいだね」
とアリスが俺と咲の方を見てポツリとつぶやいた。俺はそう言われてみればなと思いながら3人の位置を改めて確認した。道路側を俺がその隣に咲が、そして、アリスといった感じの立ち位置。俺と咲は何かあった時が怖いから手を繋いでいる。そして、意外なことに咲はアリスとも手を繋いでいる。何があったんだろうかとは思いつつ、考えても仕方ないので考えないことにした。3人は駅につくまで俺とアリスの出会いから何からの過去の話をしながら歩いていった。(会話の内容は恥ずかしい話が多かったのでここには割愛)
「ん、そんなことならいつもみたいにメールや電話で良かったんじゃないのか?」
いつもなら、こんな業務連絡はメールや電話なのに、何かあったのだろうか、と考えていると、アリスは顔を赤く染めながら、
「優羽ちゃんに会いたかったんだよぉ・・・・・・最近、忙しくて顔合わせる機会なかったから」
ああ、そういう事か。アリスの中の俺成分が尽きかけている、いや、尽きているということか。それじゃあ、しかたないな。うんうん。
「まあ、いいや。そうだな、原稿は順調だな、今のところ。それで、連絡って?」
「うん、それね。来週、編集部に顔出しに来てだって、編集長が」
編集部という言葉を言ったと同時に優羽の顔が険しくなっていく。そして、ポツリと、
「編集部。はぁ〜行きたくないなぁ、アリス、それって強制?」
「もう、何言ってるの!そんなの当たり前じゃない。副編がいない時に来ていいから!ってか、その日に呼ぶから」
「あ、じゃあ、行く!」
ちょっと、あなたは目上の人をなんだと思っているんですか。それに、どうして副編集長さんがいるとダメなんですか?
「まぁ、副編の木山さん、私も苦手だけどね」
と、アリスは舌を出していたずらっぽく笑う。あなた達ねー!まぁ、いいですよ、嫌いな人や苦手な人の一人や二人いるのが普通ですもんね!
「アリス、お前今日まだ帰らなくてもいいのか?」
アリスが来てから早くも2時間程経とうとしていた。いつもなら、もう帰っている時間帯なのだが・・・・・・やはり何か変だ。
「えっ、もう、そんな時間!?」
そう言って、慌てて左手にはめている腕時計を見る。あ、俺が成人式の後にプレゼントしたやつだ。使ってくれてるんだ。選ぶの大変だったな〜。
「腕時計まだ使ってくれてるんだ」
「うん、デザインとか好きだから・・・・・・それに優羽ちゃんがくれたものだし、一生の宝物だよ」
「ん、最後の方なんて言ったんだ?」
「ううん、何でもない。そうだね、うーん、もっと優羽ちゃんといたいけど、さっきから咲ちゃんの視線が冷たいから今日はもう帰るね」
そう言って、バッグを持って玄関の方に歩いていく。
「駅まで送ろうか?」
まだ四月の5時は明るいとはいえ、女の子を一人で帰らせるのは危ない気がすると思いそう言うと、
「えっ、本当に!?いいの!?」
あまりに素直な返事に、
「う、うん。だって1人じゃ危ないだろ?」
と返しながら、咲の方を見るとすでに上着を着てきて、手には俺のお気に入りの黒のパーカーを持っていた。あ、地味とか言うなよ!黒が好きなだけだからな!そのパーカーを受け取って、
「咲、ありがとうな」
そういいながら、咲の頭を無造作に、しかし、優しくなでる。顔を赤く染めてうつむいてしまった咲を見て、素直な感謝になれてないのかな、と思いつつ、
「じゃあ、行こっか」
と咲の手をとって、アリスと一緒に部屋を出た。
外に出てみると空気はまだ暖かく、そして、明るい。空はオレンジ色に染まろうとしていた。駅に向かう道を歩きながら、道沿いに植えられた桜が散って葉桜だなーとか夕日が綺麗だなーなんて考えていると、隣から、
「なんだかこうやって歩いていると家族みたいだね」
とアリスが俺と咲の方を見てポツリとつぶやいた。俺はそう言われてみればなと思いながら3人の位置を改めて確認した。道路側を俺がその隣に咲が、そして、アリスといった感じの立ち位置。俺と咲は何かあった時が怖いから手を繋いでいる。そして、意外なことに咲はアリスとも手を繋いでいる。何があったんだろうかとは思いつつ、考えても仕方ないので考えないことにした。3人は駅につくまで俺とアリスの出会いから何からの過去の話をしながら歩いていった。(会話の内容は恥ずかしい話が多かったのでここには割愛)