ある日、パパになりました。
咲は混乱していた。どうして、目の前に知らない人がいるのか。葵お姉ちゃんは
、友達だから気にしないでと言っていたけど、さっきからジロジロ見られてると落ち着かない。ちなみに、葵お姉ちゃんはキッチンで昼食を作っている。こういう時にパパが居たら・・・と無理な願いをする咲。
そして、花梨はというと落ち込んで、更に驚いていた。な、なに、この可愛い生き物は。お兄さんの顔はそうでもないから、相手の顔が凄いってこと!?まけた・・・私自身、自分の顔に自信が無い。周りからは可愛いと言われるがどうも御世辞にしか聞こえない。いや、自分の事はどうでもよくて、今はこの目の前の可愛い生き物の方が大事で。あ、今、手に取って読んでいる本って、お兄さんが書いている本だ〜!!この子もこの本好きなんだ!!
と、その時、
「はい、お待たせ〜」
トンと、二人の目の前に置かれたのは、冷し中華。咲は、
「いただきま〜す」
と言って、食べ始めた。その一方、花梨は、
「なんで、春に冷し中華?」
ちょっと困惑していた。それを聞いて、葵は、
「いいじゃない、別に。文句があるなら食べなくてもいいよ?」
そう言って、花梨の方に置いていた皿を自分の方へと戻した。
「いやいや、全然文句なんて無いです。どうか私にも食べさせてください」
なんて真顔で言う花梨を見て、咲は、ぷっと吹き出した。
「あ、咲ちゃん。そこ、笑う所じゃないよ〜」
と笑いながら言う花梨を見て、次は葵が笑い出した。三人の楽しい笑い声が部屋に響いていた。
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