ヲタカレ。〜デキる先輩の秘密〜
「あ、そうだ南條」
柏木さんは思い出したようにあたしを呼ぶ。
あたしは柏木さんを見上げた。
柏木さんは相変わらずチャラチャラしていたが、少し頰を染めている。
どうしたんだろう。
思わず覗き込むと、さらに赤くなって横を向いた。
やっぱり柏木さんだ、可愛い。
ニヤニヤしているあたしに、
「ふざけんな」
柏木さんはそっぽを向いたまま言う。
そんな柏木さんの耳は真っ赤で。
胸がきゅんと音を立てる。
「ふざけてるのは、柏木さんでしょ?」
そう言って、さらに顔を覗き込むあたし。
「……やめろって」
苦しそうにそう言う柏木さんは、キモオタ柏木さんみたいな弱々しい顔をしていて、口元を手で押さえていて。
さらに胸が甘い音を立てた。
やっぱり好きだ、大好きだ。