ヲタカレ。〜デキる先輩の秘密〜
金曜日の帰りがけに、柏木さんがあたしに言う。
「日曜日からの出張、頼んだぞ」
「はい……」
頷くあたし。
そんなあたしに柏木さんは言う。
「東京でやりたいこと、あるか?」
その言葉にドキンとした。
柏木さん、日曜日はデートをしようって言ってくれたよね。
本当にデートプラン考えてくれているのかな。
だけど、嬉しい反面不安もある。
柏木さんとデートだなんて。
きっと、訳のわからないメイドカフェやオタクの聖地に連れていかれるんだろう。
柏木さんが喜んでくれるならそれでいいけど、あたし、きっと楽しめないだろう。
「ま、柏木さんとは別行動ですし」
わざとそう言ってやる。
すると、柏木さんは鼻で笑って帰っていった。
柏木さんは、最後までチャラ柏木さんだった。
そして、やっぱりメールも来なかった。
あたしたち、本当に付き合っているのだろうかとさえ思った。
こんな訳で時間が過ぎ……
日曜日を迎える。