ヲタカレ。〜デキる先輩の秘密〜
「おおお遅くなりました」
まだ、待ち合わせ時間にもなっていないのに。
そんなことを言う柏木さんは……
なんと、普通のおしゃれイケメンだった。
カーキのジャケットに、Vネックの春ニット。
黒いスキニーパンツに、ビジネスでも履ける革靴。
ヤバい……マジでかっこいいと思った。
それなのに、頰を染めてあたしを見る柏木さん。
「なな南條さん……天使です」
なんて言う。
天使だなんて言いすぎだ。
だけど、そんな素直な柏木さんが大好きで。
笑顔でありがとうございますと言う。
不思議だな。
オフィスでは、いつも喧嘩ばかりしているのに。
こうやって二人になって、キモオタ柏木さんに会うと、どうしても素直になってしまう。