ヲタカレ。〜デキる先輩の秘密〜
そんな訳で、予定時刻を大幅に過ぎてホテルを出るあたしたち。
急いで電車に飛び乗った。
通勤ラッシュの電車は超満員で、もみくちゃになってしまう。
あたしは柏木さんに押し付けられ、その胸に顔を埋める。
柏木さんは身体を硬直させて立っていた。
柏木さんの息遣いを感じる。
緊張しているのか、少し速い。
そして、不覚にも柏木さんの胸に溺れ、体温を感じ、昨夜のことを思い出さずにはいられなかった。
胸が甘く鳴り、身体に熱を感じる。
顔を上げると、真っ赤になった柏木さんと視線がぶつかって。
柏木さんは、そのまま気まずそうに横を向く。
そんな柏木さんがツボで、あたしは再び柏木さんの胸に顔を埋めた。
全てが幸せだった。
柏木さんを全身で感じることが出来て。
この後、あんな悲劇が起こると思ってもいなかった。