ヲタカレ。〜デキる先輩の秘密〜
柏木さんは泣きそうな顔であたしを見た。
会社での、快活な柏木さんからは想像もつかない。
「振ったのは……
しし知られるのが怖かったからです」
柏木さんの声は震えていた。
「俺の本性を知ったら、ぜぜ絶対嫌われますから……」
柏木さん、なに言ってるんだろう。
あたしも柏木さんの本性を知って、引いてしまったのに。
現に、もう柏木さんと関わりたくないと思ってしまう。
それなのに、柏木さんは続ける。
「南條氏は、今日も会社で普通にしてくれました。
俺のこと誰にも言わないし、こうやってご飯にも行ってくれます」