ヲタカレ。〜デキる先輩の秘密〜
待ち合わせ場所にいた慧太郎は、若い格好をしていた。
パーカーの下にTシャツ。
そしてジーンズにスニーカー。
それがやたら慧太郎に似合っている。
大学生と言っても通用するだろう。
そして、やっぱり可愛いかっこいいと思った。
あたしの好みではないけど。
あたしの好みは……
「澪!」
慧太郎は嬉しそうにあたしを呼ぶ。
そして、
「こっちこっち」
近くのマンションに入った。
比較的新しくて綺麗な賃貸マンション。
ここが柏木さんの家なんだ。
どんな部屋なんだろう。
そんなこと考える余裕もなく。
ひたすら緊張と戦っていた。
「柏木さん、怒るかな。
嫌がるかな」
あたしは思わずこぼす。
慧太郎は
「そんなことないと思うよ」
突き当たりの扉を開けた。