よく分かる桃太郎の攻略法
その可愛い仕草は結局宿につくまで続いた。

ずっと無言で。



する事もないし周りを観察しながら歩いてみる。

さっきはカイリに担がれて、餌にされるって気が気じゃなかったし。



ただ、町長の家を出て商店街と反対方向に進んでるからか、ここらには人気が全くない。

家自体もほとんど無くて、まるで寂れた村のようだ。

早々に観察するものも無くなってしまった中、ポツンと立つ家の前でカイリが止まったことで、ここが私の借宿なのだと分かる。



カチャ

そんな頼りない音を立ててドアが開けられる。

レディーファーストとでも言わんばかりに、ドアを開けた状態で待ってくれてるカイリにペコリと頭を下げた。



家の中は…

見た目よりも広く感じて、借宿にするには十分だ。

シンプルな家具と簡易な台所。

それから奥の方にはベッドがあって、ドアが一つ。



室内を軽く確認した後、入口の横で戸惑っているように見えるカイリに視線を向ける。



「ありがとうね」

「………………」



また無言なのに、少し前みたいな腹立たしさはない。

だって尻尾振ってるもん。
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