よく分かる桃太郎の攻略法
部屋に入ったからといって何をするでもなく、今からここで急いでやることなんて特に無い。

さっきあった商店街まで行ってみようかとも思うが…

それよりも何だかとっても疲れた。

取りあえず、寝たい。



「悪かった、な」

「………えっ?」

「………………」



眠すぎて幻聴かと思うくらい。

ボソボソとした聞こえにくい声だったけど、私の耳に届くには十分で。

カイリを見ると、恥ずかしいのか顔を背けて視線をさ迷わせていた。

やっぱりこの大型犬、可愛いな。



「ふふ、可愛いね。カイリ」

「ッッ!?」



今度は動揺してるのだろう。

目を見開いてこっちを見たと思えば、バッと思いっきりそらされた。

大型犬と遊びたい気持ちは山々だけど、ダメだ。

睡魔には勝てそうにないや。



「私、疲れたしちょっと寝るね」

「…夕食は運ばせる…」

「うん、ありがと」



身体と言うより精神的な疲れが強かった。

鬼退治をしたら元の世界に戻れる…

なら元の私は今、意識がなく眠っている状態なんだろうか。

…鬼退治をしなかったら、私はどうなるんだろ…



そんな考えを頭に浮かばせながらも、意識が遠退くのは早かった。
< 21 / 97 >

この作品をシェア

pagetop