よく分かる桃太郎の攻略法
「んー、美味しいっ」



コトランには負けるけど、ここの料理もなかなかにいける。

食材も肉から野菜から色々揃っているし、品数も申し分ない。

テーブルに並べられたお皿を見れば幸せな気分になれた。



「ぷっはぁ、うまいっ!」

「エンジュ、それじゃ年寄りみたいだよ」

「へっ!こんな上手いもん飲めねーで可哀想に」



クスクスと隠せない笑いをこぼせば、エンジュがニヤリと笑った。

結局、お酒を頼んだのはエンジュだけだった。

カイリはお酒があんまり得意じゃないようで、私と同じ果実ジュースを飲んでいる。



長老お勧めのこの店は客が多くて、とても賑わっていた。

ひっきりなしに入り口のドアが開き、新たな客が現れる。

こんな風に。



「あれ、貴方達はさっきの…」

「あ…チュマリ」

「先程はどうもありがとうございました」



私達の傍へ来て礼儀正しく頭を下げるチュマリに、手を降って体を戻してもらう。

周りの仲間が何だ何だとこっちを見ながら、空いていた近くの席へと腰を下ろしている。

私達と違って大勢のパーティーだから、この店の空席を全て埋め尽くしそうだ。



「じゃあ、僕はこれで」

「あ、うん…」



自分の仲間の元へ戻るや否や、皆の注文を聞き出すチュマリ。

いかつい集団の群れにいるには、細く小さな体は似合わない。

雑用を言いつけられるあたり、このパーティーでのチュマリの立ち位置が分かった気がした。
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