よく分かる桃太郎の攻略法
私の止める声を聞かず、ズンズンと相手のテーブルへと詰め寄るアホ猿。

向こうのテーブルからも血の気の多そうな奴等が立ち上がって、もう喧嘩秒読みだ。



両特攻隊長の距離がなくなっていく。

ヤバい…

と思ったその時、両者の足元に矢が打たれた。



「何をしているのですか」

「フ、フォードっ!?」

「私のいない隙に、随分楽しそうなことをしていますね」



声だけで分かる怒気のこもった彼は、あの派手な男だった。

矢が打たれ、両者が飛び退いた事で出来た間に入り、左右を見比べる。

そして大きなため息を吐いた後、私の傍で膝をつき、すみませんと口にしたのだ。



「怖い思いをさせてしまいましたね。

 でも鬼退治とならばこんなものではすみませんよ」

「えっ、あー…まぁそうでしょうね」

「分かったのなら、平和な元いた町にお戻りなさい。

 ああ、町が遠いのなら誰かに送らせましょうか」



フォードと呼ばれたこの男によって、勝手に話が進められていく。

自分の仲間を見渡して誰にしようかと悩んでいるうちに、視線で助けを求めたい。

パチリと目が合ったのは、隣に座るカイリ。

頼むよ、この男どうにかしてくれ。
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