よく分かる桃太郎の攻略法
「こいつは…行かなくてはならない」

「それはどういうことだい?

 こんなか弱そうなメスを連れていくなんて…

 君はこの子を鬼のエサにでもする気なのかい?」



おお、カイリがプスプスしている。

エンジュの言ってたプスプスが分かったよ。

言葉足らずなカイリの説明では、何の理解をされる訳でもなく、逆に詰め寄られて自滅してるし。



こんな時はエンジュだ。

期待を込めてエンジュを見れば、彼は自信満々に頷いて、前に私がしたようにグッと親指を立てた。



「おいっ!」

エンジュのバカでかい声が酒場に響き渡る。

そのせいで、酒場は一瞬にして沈黙と化した。



いやいやいや、やめてよ!

関係ない人までもがこっち見てんじゃん!



「コイツは実はっ!」

「ちょ、エンジュ!?」



更に何かを続けて言おうとしているエンジュを止めようと、私も大声で遮る。

何をそんな大声で言うつもりなんだ…

嫌な予感が汗になって流れる。



「コイツはっ…異形の者だっ!!」



………………。

…バカだバカだと思ってたけど、ここまでとはっ!

あぁ、やっぱり元の世界に戻りたい。

周りの好奇な視線に晒されながら、心からそう思った。
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