よく分かる桃太郎の攻略法
「よしっ!一番は俺様だっ!」

「え、エンジュ、頑張って!?」



テーブルの前に座っているエンジュの前に、私の顔の2倍はあろう大きさの酒樽が置かれる。

その酒樽の隣には同じ物がもう一つ。

これは向こうの先陣を切る、ゴリラのヒューマンの分だ。



「お二人とも、準備は良いですね?

 この酒樽を先に空にした方の勝ちです」



チュマリがこの場を仕切って、勝負が始まろうとしている。

フォードが提案した、酒場に似合う勝負。

つまり酒の早飲みが。



「それではいきますよ!

 よーい、スタートっっ!」



チュマリの声で、エンジュとゴリラのヒューマンが酒樽を手で挟み、斜めに傾けた。

周りがゴリラの応援のために囃し立てるから、私の声が掻き消される。

それでも必死に声を張り上げた。



ングングっと、樽の中の液体が流れていくのが分かる。

樽の角度が段々と上がっていく。

ペースとしては…良い勝負か。



「エンジューーーっっ!!」



私の声が聞こえたのかは分からない。

でも、ここでエンジュの樽の角度が上がるペースが変わった。
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