よく分かる桃太郎の攻略法
「俺の相手は異形のメスかよ」



勝負にならないとでも言いたげな物言いに横を睨めば、顔に傷のあるでかい髭男。

多分熊のヒューマン。

目付きの悪い目が威圧感を与えてきて、思わず背筋が伸びた。



「では準備は良いですか?」



チュマリの言葉は主に私に掛けられているのだろう。

今も心配そうに私を見つめてくれている。

静かに頷いて、そっと両手を樽に伸ばした。



皆軽々と持ち上げているのに、私には持ち上げることすら出来そうにない。

それくらい、私と皆には差があるんだ…

そう思うと、仲間になってくれた二人は私で良いんだろうか、なんて考えが浮かんだ。



「よーい、スタートっ!」

チュマリの声で、液体の注ぎ口に口をつけて樽を傾け───



ようとした腕をガシッと止められた。



「……カイリ…?」

「やめておけ…

 …後は俺がやる…」

「え、でも…」



お酒飲めないんじゃ…

なんて私の言いたい事は分かっているとでも言いたげな目で、頭をポンポンと撫でられた。



「この勝負はこちらの棄権負けだ」
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