よく分かる桃太郎の攻略法
空になった樽が床に落ちるのと同時、カイリの体が後ろへと倒れる。

傍へ寄る私より先に、エンジュがカイリの体をキャッチしたことでほっと息が漏れた。



「───ったく!

 心配かけさせやがってっ!!」

「…悪い…な…」

「よくやったよ、お前!」



エンジュとカイリが笑い合っていて…

何だか近寄ろうとしていた私の足が進むのを止めた。



「モモセ、何止まってんだよ」

「…だって…私、また…」



役立たずだった。

そう言いたかった言葉は、二人の優しい顔で詰まらされる。



「…モモセ…」



力なく伸ばされた右手が私を呼んでいる。

そこへ行って良いんだと…

そんな事されたら、行かずにはいられない。

駆け寄ってダイブするように抱き付けば、グエッと二人同時に口許を押さえた。



「二人とも、ありがとっっ」

「まだまだモモセといたいしな」

「…ああ…そうだな…」



私がまだ二人といたいように、二人も私といたいと思ってくれてたんだ…嬉しい。

二人に回した腕の力を強めれば、ギブギブっとタップされた。
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