よく分かる桃太郎の攻略法
「モモセの言った事、守ってんだな」

「え…う、うん」



昨日の事を思い出して、また火照りそうな顔を両手で覆う。

何だよ…

こんな乙女チックなの、私には似合わないしっ!



こうなった元凶はと言えば…

昨日よりは幾分か落ち着いた色の上着を着て、売り物の新たな服に手を伸ばしている。

赤っぽい服ばかりを手に取る事から、まだエンジュの服を選んでいるのだろう。

そんなに人の服気にするなんて、このオシャレさんめ。



「エンジュの服?」

「はい。

 モモセはどれがエンジュに似合うと思いますか?」

「だから俺はこのままで良いんだって」

「そうだなぁ…うーん…」

「こら、てめっ、モモセ!」



あはは、と自然と笑顔がこぼれる。

なかなか広い店内だし、ちょっとくらい騒いでも怒られないでしょ。

こうやってワイワイするの、楽しいな。



でもそれには一人足りない。

カーテンの奥に消えたカイリへ、声を掛けようとした時、静かにカーテンが開いた。
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