よく分かる桃太郎の攻略法
そんな訳あるか。

そう、自分で自分に突っ込みを入れたくなる。

こんな現実離れしたこと、今までに考えた事すらないし。



が、そういう訳にはいかない。

だって実際今、この目で見てしまってるんだから。



反射的に下がった私の右足がガサリと音を立てれば、彼の耳がピクッと動いた。

耳、彼の耳…



普通あるべき所にある耳ではない…

黒い髪から生えるようにしてある黒い耳が、だ。



それに、おかしいのは耳だけじゃない。

人間にはない、…尻尾が彼にはあった。

マントの下からひょっこりと出ている、動物独特の尻尾が…



大きな三角の前傾気味の耳に、ゆるく巻いたような尻尾…



まるで、

まるでそれは犬のコスプレのようで…



何だか…

何だか…



ちょっぴり癒されてしまった。
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