よく分かる桃太郎の攻略法
森は只でさえ暗がりなのに、そこに唯一の光である太陽が沈めば…

恐ろしいほど辺りは真っ暗になった。



カイリとフォードの仕切りで、完全に暗くなる前に良い岩穴を見つけられて、今夜の寝床を確保する事の出来た私達。

つまり、その日の夜は野宿をすることになったのだ。

岩穴の中は意外にも温かくて、狭いけど一晩を過ごすには十分な場所だった。



秘密の隠れ家じゃないけど、この微妙な狭さが落ち着ける。

家でもトイレが私の第2の憩いの場で、よく長居して怒られたっけ。

なんて、滅多に出来ない経験に、少し興奮している自分がいた。



「モモセ、寒くないか?」

「大丈夫だよ」

「今日は…悪かったな」



夜の森は冷えると言うけど、フォードの繕ってくれた服と、エンジュがプリメロで買ってくれた大判の布のおかげで寒さは防げている。

特にこの布、軽いくせに凄い暖かい。

エンジュも、いつもは首にグルグル巻きにしてある布を肩へとかけていた。

そして、心なしかヘコんでいるように見える。



「何で謝るの?」

「いや、だって…怖い思いさせたし…」



ああ、昼間のウイリー事件のことか。

しょぼしょぼと、声が段々小さくなるエンジュの背中を、右手で叩いてやれば。

パシーーーンッと良い音がなった。
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