よく分かる桃太郎の攻略法
「お二方。

 仲が良いのは素晴らしい事ですが、私もご一緒させてくれませんか」



ふと聞こえた声に、自分がウトウトしていたんだと気付く。

我慢できないアクビを右手で覆いながら、覚醒しきってない頭で今の状況を思い出す。

ここは岩穴の中で、確かエンジュと抱きしめ合いながら…

いつの間にか寝ちゃってたんだ。



体を起こそうとして、何かに服をクンッと引かれる。

引っ掛かっただけかと思ったけど、その正体を見て、思わず笑ってしまった。

そこにはあどけない顔で眠るエンジュが、私の服を握りしめてたから。



「あらあら、寝ちゃってるんですね。

 起こしますか?」

「んー…ううん、もう少しこのままでいようかな」



空いてる手で顔を撫でてやれば、くすぐったいのか身動ぎをして、私の手に顔を擦り付けてくる。

キュン。

なに、この可愛い生き物。



こんなことされたら、無理矢理起こすなんて出来ないし。

気持ち良さそうな寝顔を見てると、私までまた瞼が重くなって…

岩穴の近くで燃やされてる火が、影をゆらゆら揺らしているのを感じながら、もう一度その場で横になった。
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