よく分かる桃太郎の攻略法
「モモセ、もう飲み終わりましたか?」

「うん」

「じゃあ、こちらへ」



そう言ってフォードが連れてきたのは、岩穴の中だった。

火の当番の1番手はカイリのようで、さっきまで寝ていただろうエンジュもまだ火の傍にいた。



「私、眠くない」

「そんなこと言わないで、お願いします」

「お願いしますって何が?」



エンジュじゃないけど、それこそ私は今さっきまで寝ていたのだ。

ここへ来ても眠れそうになんてない。

それにお願いされるようなことも思い付かない。



「エンジュがね、自慢してきたんですよ」

「うん?」

「モモセを抱き締めて寝たら、とてもよく眠れたとね。

 そんなの…羨ましいじゃないですか」



そんなの知らないし。

エンジュが勝手に言ってるだけでしょ。

真に受けてどーすんの。



と言ってやりたいのに。

そんなにウキウキした顔で頼まれたら断れないじゃないか。
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