よく分かる桃太郎の攻略法
エンジュとは少し違う、出来上がった大人の体。

その胸に顔を寄せるようにしている今、ドキドキが半端無い。

それに、やっぱり良い匂いがする。



「ふふ」

「どうしたの?」

「昔にね、よくこうしてチュマリと寝たことを思い出しました」



さっき私がエンジュにしたように、フォードが私の頭を撫でる。

お兄ちゃんがいたらこんな感じだろうか。

現実では一人っ子だった私にとっては、よく分からない感覚だけど、悪くはないと思った。



しばらく無言が続いた後、聞こえてきたのはすぐ近くで聞こえる寝息だった。

やっぱり皆疲れてるんだな。

明日も距離を伸ばしてもらわないといけないから。

寝れる時に寝てもらって休んでもらわなければ。



安眠を取るために私が必要と、そう言ってくれるなら。

役立たずな私でも役に立つと、その役目を果たそう。

片手で私を抱き寄せるようにして眠るフォードの横で、私も静かに目を閉じた。
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