ストレートな君
......もしかしてのもしかしてだけど。
「智哉の時計ずれてるんじゃない?」
「えっ?」
私の言葉を聞いた瞬間走るのを止めた智哉。
その反動で智哉より少し前に出てしまった。
「うわぁ、いきなり止まられるとびっくりするんだけど」
「あ、すみません。それより美乃梨さんの時計何時なんですか?」
ひょいと私の時計を覗き込む智哉。
「私のは8時20分だよ」
「......僕のと全然違いますね」
そりゃそうだよ。
携帯で確かめてみたけど、私の時計と同じ時間だったし。
智哉の時計が狂ってただけだね。
「どうやったらそんなに時間ズレるの」
不思議なんだけど。
「僕の時計はですね、少し早めにしてるんですよ」
時計のネジを触りながらそう言った智哉。
時間でも直してるのかな。
「へぇ〜そうなんだ」
...でもさすがに早すぎない?