ストレートな君
「なんでそんな早めに設定してるの?」
私はぴったりじゃないとだめなのに。
「だってもし遅れたら大変じゃないですか? 早めにしてた方が急げるし」
「そっか〜」
私だとそこまで気にせずのんびり行くだろうなきっと。
今までそうだったし。
「それより美乃梨さん、急ぎますよ‼︎ 今のでたいぶ時間とりました‼︎」
そう言って私を置いて走って行こうとする智哉の制服の袖を掴む。
「ちょっと置いて行かないでよ‼︎ ていうか私のせいなの⁉︎」
本当、私のせいにしないでほしいよ、ともやん。
「も〜美乃梨さん...分かりましたよ。手離さないで下さいね」
そう言った後、私の手をぎゅっと握ってきた智哉。
「えっ」
一瞬わけが分からなかった。
あの、いや、そういうことじゃないんだけど。