ストレートな君
「あとちょっとですから頑張って下さいね〜」
そう言った直後、ぐんっと勢いよく引っ張られる。
「うわぁ‼︎ 速い速い‼︎」
そして手が痛い‼︎
というかともやん、歯医者さんが子供に投げかけるような言葉を私に言わないでほしいな。
子供扱いされてる気分になっちゃうよ。
実際は私の方が一つ上なのにさ〜。
それより危うく忘れそうだったけど、私のせいにしてるってこと否定してくれないのね。
そうかそうか、ともやん、悲しいよ私。
「あ、美乃梨さん」
ふと名前を呼ばれて我に返る。
そして走るのを止めて歩き出した智哉に合わせて、私も歩き始める。
「ん? 何、どうしたの?」
「着きましたよ。時間もまだありますし間に合いましたね〜」
そう言って笑顔で私を見てきた智哉。
その笑顔はいいんだけどね。
「走らなくても良かったのに」
私普段走らないし、帰宅部だし、部活も運動部に入ってないから疲れるんだよ本当。