ストレートな君
「おーい‼︎ そこにいる生徒ー‼︎ もうそろそろで予鈴鳴るから急いで教室行けよー‼︎」
門の前に立っていた男の先生が声を張り上げているのが目に入る。
恐らく私と智哉に言ってるんだろう。
これは急がなきゃ。
遅刻しちゃう。
未だに固まっている智哉に目を向けると肩を揺らす。
「智哉‼︎ 予鈴鳴るから急ぐよ‼︎」
本当に遅刻しちゃうかも。
私、遅刻だけは勘弁だよー⁉︎
そんな思いが通じたのか通じなかったのか、ハッと我に返った様子の智哉。
「あっ、美乃梨さん。すみません」
「あぁ‼︎ 良かった」
とりあえず謝られるのは別として急がなきゃ。
そう思いながら智哉の腕を掴むと、走り出す。