ストレートな君
「帰るに決まってんだろ〜? 手伝ってほしいなら他の誰かに頼めばいんじゃねぇの?」
...ですよね、分かってました。
分かってて聞いたけど、もしかしたらって期待しちゃいました。
「まぁいつも一緒に登校してる智哉? だっけ? そいつにでも手伝ってもらえば?」
「えっ⁉︎」
ニタリと口角を上げて、私に手を振る菜央。
何でそこで智哉が出てくるんだろう。
......まぁ私、菜央に智哉のこと色々話してたからなぁ。
菜央に話してた大体の内容は、『智哉が電柱にぶつかりそうになった』とかしょうもない話だけどね。
「あ、ねぇ菜央......ってあれ?」
まだ教室にいると思って声を発した私だけど、もう教室には菜央の姿はない。
......しまった、菜央に帰られちゃったよ。
しかもクラスメイトの子もいないし。
教室に私1人だけだ。
「はぁ......」
仕方ない。
掃除始めよう。