ストレートな君
美乃梨side
夏見屋くんが教室から出て行ってすぐのこと。
再び廊下から走ってくる音が聞こえてきた。
......もしかしてまた誰かが忘れ物を取りに来たのかな?
机を運びながら、のんびりとそんなことを考える。
今日は忘れ物が多い日だねぇ。
......なんて言ってみる。
掃除もあと半分くらい。
1人だとこんなにも時間がかかってしまうんだと思い知らされる。
智哉に申し訳ないなぁ。
一緒に帰る約束してたのに、ドタキャンみたいになっちゃった。
「はぁ...」
頑張らなくちゃ。
そう思いながらため息をついた瞬間。
「美乃梨さん‼︎」
突然、いるはずもない智哉の声が教室に響いた。