ストレートな君
「えっ、智哉? 何で...」
何で今ここにこうしているんだろう。
先に帰ったはずなのに。
驚いて固まってる私に対して、智哉はというと息を切らしながら口を開いた。
「どうして『先に帰ってて』なんて言うんですか。今日一緒に帰るって約束したのにさ」
少し泣きそうな表情をしているように見えるのは、私の気のせいなのかな。
「......だって掃除押し付けられたんだよ。しかも1人で掃除だから余計に長くなっちゃうし」
「......」
「それなのに、智哉を待たせるわけにはいかないでしょ」
だから先に帰っててって連絡したのに......結局は待たせる形になってしまった。
「僕は美乃梨さんのことならいつまででも待ちますよ」
そう言ってじっと見つめてくる智哉。
......そんな真っ直ぐな目で見つめられても、どういう反応をしたらいいのか分からない。