ストレートな君
『......離して下さい』
『え?』
『離してください‼︎』
大声を出して店員に体当たりする。
『うわっ』
すると、店員はふらりふらりとバランスを崩した。
その瞬間、駆け出す。
...嫌だ嫌だ嫌だ。
何でこんなことになったんだろう。
今にも泣き出してしまいそうになる気持ちを堪えて、無我夢中で走り続けた。
家に帰ると、優しそうに笑っているお母さんが待っていて。
『おかえり。暑かったでしょ。冷たいお茶あるから飲みなさい』
『......お母さん』
じわじわと視界が歪んでいく。
手に持っている荷物を玄関口に置くとお母さんに飛びついた。
涙が溢れて止まらなかった。