恋愛日和
ふと我に返ると、パソコンの画面がにじんで見えた。
気がついたら泣いてた。

やだな、泣いてることにすら気付いていなかった。
ショック過ぎて、感情すら鈍っちゃってるのかも。

新規開拓の飛び込み営業なんて、私に出来るのかな。
ちょっと内気な面があるから、
営業以外の仕事を選んだのに、まさかこんなことになっちゃうなんて。

キョロキョロと、ダンボールの詰まった部屋を見渡す。

ここには、今の自分の弱音を言える家族もいない。
改めて実感する。

あるはずないのに、無人島に一人ぼっちで取り残されたような気持ちになっちゃう。

「帰りたいよう・・・。」

オレンジ色のノートパソコンの前に体育ずわりして、
膝を抱えて泣くだけ泣いた。

オレンジ色のパソコンを目の前に、私の心は涙色。


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