あなたの事が好きなんです。


そんな事を考えているとちょうど歌い終わった高橋くんと目があった。

ドキッ…

固まる私と固まる高橋くん。


別に恋に落ちたわけではなく、目的を思い出したよう。


「美和!飲み物入れてこうぜ!!」

「ん?あ、そうだね。今のうちに!」

美和は目的を完全に忘れてるみたいで高橋くんの計画にすんなり乗ってしまった。


私と長谷川くんだけの部屋にカラオケの告知が流れ出す。





「なんか歌う?」

「え…」

まさか話しかけられると思ってなかった私は長谷川くんを見たまま固まる。

「歌わねえならいいけど」

その言葉で我に返った私は、目をそらして俯いた。

「何でいつも目そらすんだよ」

「え…」

何でって言われても…

「すいません…」

「何?俺のこと嫌い?」

「!!…嫌いとかそういうんじゃなくて、その…」

人のこと睨んでおいて嫌いかどうかなんて、この人何言ってんの?


「じゃあ何なんだよ」

「だって長谷川くんいつも怖い顔で睨んでくるじゃないですか。」

あ…勢いで言っちゃった。

今日は色んな事があって精神が不安定になってるのかな。普段は絶対言わないのに。




「睨んでないんだけど」

「…はい?」



いや、あれで睨んでないならあなたの真顔はどんだけ怖いんですか。



「で、蓮が帰って来てからお前が俺のこと好きって遠回しでアピールしてくるんだけど、どうなってんの?」

「あ…」
高橋くん…君は嘘をつけないタイプですか。
張り切っちゃうタイプですか。


「これには訳がありまして…」

「だろうな。
お前は蓮が好きだしな」


「ナゼ…それを…」

「見てりゃわかる」

そうですよね…
だからあなたは私を睨んでたんですよね…
蓮に近づくなーって…


…あれ?さっき睨んでないって言ってたよね?

「あの…いつもなんで私を睨…見てくるんですか?」

危ない…睨んでって言いそうになりながらもどうにか訂正できた。

「…別に意味はねえ」

「意味は無いって…物凄く怖いんですけど…」

「………悪りぃ」

え…この人ちゃんと謝るんだ…意外。




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