あなたの事が好きなんです。
「長谷川 春樹!」
「あ?」
出欠を取る担任に対して、つい雑な返事をしてしまう。
「なんだその返事は!」
「…………」
明らかに機嫌が悪い俺に担任はブツブツ言いながらも次の奴の名前を呼ぶ。
「ハル、なんかあったのかよ!」
小声で聞いてくる蓮。
「別になんもねぇよ」
正直今1番お前がうぜぇ。
俺は何であんな言い方しかできないんだろう。
俺は女が嫌いだ。
中学の2年辺りからかな。
割と顔のいい俺に女がデレデレしてくるようになった。
ガキのくせに頑張って色気出そうとしてきたり、友達になろうだの何だので近づいて来たり…
もともと他人が好きじゃねぇ俺は女が特に嫌いになった。
そんな中、中学を卒業して蓮と同じ高校に進学した。
入学式が終わって生徒が一斉に体育館から教室に向かう。
俺と蓮を見た女達がコソコソとかっこいいだのイケメンだの…
「ハル、ごめん俺トイレ行ってくるわ」
入学式の間ずっと我慢してたトイレに駆け込む蓮。
取り残された俺は近くの壁にもたれて蓮を待つ。
「あの…何組ですか?」
「名前なんて言うんですか?」
たまに話しかけてくる女をひたすら無視してボケーッと蓮を待つ。
「LINE教えてくれませんか?」
しつこい女がいて、イライラする俺。
「うっせぇな」
小さな声でそう言い、その場を去ろうとした瞬間…
ドンッ
「わっ」
小柄な女にぶつかった。
「す…すいません」
そう言って軽く頭を下げる女。
こいつ調子乗って話しかけてくんじゃねえの?
とかちょっと自惚れた事を考えつつ、ぶつかってしまったので一応謝っておく。
「悪りぃ」
しかし、その女は俺をチラッと見た後、軽く頭を下げてそのまま立ち去っていった。
それが 朝比奈 麗華。