あなたの事が好きなんです。
自分から話しかけてみようか。
でもここ数年女となんて喋ってねぇし。
そもそもこいつが蓮のこと見てるとすげぇむかつく。
そういう葛藤と闘う毎日。
いつの間にか1年半の月日が流れた頃。
あいつが蓮に話があると言ってきた。
あぁ、ついにその時が来たか…
諦めねぇといけねぇのかな。
俺は1人で教室に戻り、自分の席で突っ伏してそんな事ばかり考えていた。
「ハル!!」
帰ってきた蓮が教室に響き渡る程の声で俺を呼ぶ。
いつも以上にテンションが高い。
そっか、上手くいったんだな。
満面の笑みを浮かべる蓮を見て、そう思った。
「ハル!!朝比奈さんってさ!!
…かわいいよね!?」
…………は?
何言ってんだこいつ。
付き合ったなら付き合ったって言えよ。
おちょくってんのかよ。
「俺さ~朝比奈さんとハル、お似合いだと思うんだよね~!」
あいつと…
俺?
「…お前何言ってんの」
疑問だらけの俺の顔を見て困ったような顔を見せる蓮。
「何って…」
「あいつから告られたんだろ。」
「違うって!そんなわけないじゃん!
朝比奈さんはハルの方が似合ってるって!」
こいつ…何か勘違いしてるよな?
あいつは蓮の事が好きなんだ。
この俺が1番知ってる。
俺は半年間ずっとあいつを見てたんだ。
「お前、いい加減に「そうだ!今日朝比奈さんと美和と4人で遊びに行こうぜ!」
こいつの笑顔…悪気は無いんだろうな。
俺があいつを好きって薄々気づいてて…
俺の為を思ってつい、先走ってるんだ。
あいつに申し訳無いのと、蓮の思いに嬉しい気持ちが複雑にぶつかり合う。
それに…
どんな形であれ、あいつに近付けるのが嬉しかった。
でも…それは予想以上に辛かった。
あいつには蓮しか見えていない。
そう思うとついあんな事を言ってしまった。
「お前、俺と付き合えよ」
あいつは泣いてた。
俺が泣かせた。
あいつへの想いは
もう自分では抑えきれない感情になっていた。
俺をみてほしい。
俺だけを。