あなたの事が好きなんです。




自分から話しかけてみようか。



でもここ数年女となんて喋ってねぇし。




そもそもこいつが蓮のこと見てるとすげぇむかつく。






そういう葛藤と闘う毎日。

いつの間にか1年半の月日が流れた頃。



あいつが蓮に話があると言ってきた。





あぁ、ついにその時が来たか…





諦めねぇといけねぇのかな。





俺は1人で教室に戻り、自分の席で突っ伏してそんな事ばかり考えていた。







「ハル!!」




帰ってきた蓮が教室に響き渡る程の声で俺を呼ぶ。



いつも以上にテンションが高い。




そっか、上手くいったんだな。


満面の笑みを浮かべる蓮を見て、そう思った。






「ハル!!朝比奈さんってさ!!








…かわいいよね!?」






…………は?






何言ってんだこいつ。


付き合ったなら付き合ったって言えよ。


おちょくってんのかよ。





「俺さ~朝比奈さんとハル、お似合いだと思うんだよね~!」


あいつと…


俺?


「…お前何言ってんの」



疑問だらけの俺の顔を見て困ったような顔を見せる蓮。


「何って…」

「あいつから告られたんだろ。」

「違うって!そんなわけないじゃん!
朝比奈さんはハルの方が似合ってるって!」



こいつ…何か勘違いしてるよな?




あいつは蓮の事が好きなんだ。



この俺が1番知ってる。



俺は半年間ずっとあいつを見てたんだ。





「お前、いい加減に「そうだ!今日朝比奈さんと美和と4人で遊びに行こうぜ!」





こいつの笑顔…悪気は無いんだろうな。



俺があいつを好きって薄々気づいてて…



俺の為を思ってつい、先走ってるんだ。





あいつに申し訳無いのと、蓮の思いに嬉しい気持ちが複雑にぶつかり合う。



それに…


どんな形であれ、あいつに近付けるのが嬉しかった。







でも…それは予想以上に辛かった。







あいつには蓮しか見えていない。









そう思うとついあんな事を言ってしまった。







「お前、俺と付き合えよ」





あいつは泣いてた。


俺が泣かせた。




あいつへの想いは

もう自分では抑えきれない感情になっていた。






俺をみてほしい。



俺だけを。








< 21 / 39 >

この作品をシェア

pagetop