あなたの事が好きなんです。


「お待たせしました〜」

店員さんが入り口の方へと私たちを誘導する。



「行こっか!」

蓮くんが歩き出す。

でも私はこの状況にドキドキしすぎて足が動かない…



すると、動けない私に気づいた蓮くんが私の顔を覗き込む。


「どした?」


「いや…あの…」


「もしかして、怖い?」



顔を赤くして動かない私を見て勘違いをした蓮。




すると、
「大丈夫、俺がいるから」
と言って私の手を取った。

嘘…そんな事されたら余計にドキドキする。



「いってらっしゃ〜い」



店員に見送られ、入り口へと入る。








しばらくして、お化け屋敷から出てきた私たち。



「怖かったー!!」

そう言いながらも笑ってる蓮くん。



「麗華、大丈夫だった?」

「うん…ありがとう」



正直私はおばけよりも蓮くんと手を繋いでいる事の方が心臓に悪くて…




「あ、ハル達いねぇな」

「ほんと、どこ行ったんだろう」

「電話してみるわ」


蓮くんがポケットから携帯を取り出す。



「あ、美和からLINE入ってる」

「なんて?」

「"ハルとジェットコースターに乗ってくる。終わったら連絡するね"
だってさ…」




美和…またハルを強引に連れて行ったんだろうな…



「何だよあいつら。仕方ねぇな、さっき休憩したばっかだし、てきとうにフラフラすっか!」

「そうだね」


蓮くんと2人でたわいもない話をしながら近くにあったショップに入る。


「あ、これかわいい!」

入ってすぐに目に入ったキャラクターのストラップ。


「お、これ色違いあるじゃん」

「本当だ〜」


それは、ピンクと青の色違いになっていた。



「これ、買おうぜ!」

「え?」

「記念に!麗華のおばけ屋敷頑張りました記念!!」

そう言って微笑む蓮くん。



何それ、嬉しい…

頷こうと思ったその時



「あ、でも麗華はハルとお揃いがいいよな〜!」

そう言ってもう一度微笑む蓮くん。


違う…違うよ蓮くん。


早く伝えたい気持ちと、騙しているようで申し訳ない気持ちがゴチャゴチャになる。






結局何も買わずにショップを出た私たちは、ベンチへと腰を下ろす。



「あいつら遅ぇな〜」


「うん…」



連絡が来るまでここで待とうという事になり、通り過ぎる人を2人で眺める。


「カップルだらけだな〜」

「そうだね」

「俺たちもはたから見ればカップルに見えんのかな?」


そう言って ハハッ と笑う蓮くんを見てドキドキする私。


「あ、でも麗華にはハルがいるしな~!」


ドキドキがモヤモヤに変わる。



せっかく美和がくれたチャンス…


今を逃したら次はいつ来るかわからない。



「あの、蓮く「麗華」



「ハルと上手くいくように、俺なんでも協力するから。
頑張れよ!!」


そう言って満面の笑みを見せる蓮くん。





美和…ごめんね。
せっかくくれたチャンスだけど…




こんな事言われたら、私もうどうすればいいかわからないよ。






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