あなたの事が好きなんです。
「ふぅ…」
売店の人混みの中に消えて行く2人の後ろ姿を見て、ため息をつく私。
「あの長谷川くんだっけ?
いっつも麗華のこと凄い顔で見てるよね」
やっぱり美和から見てもそうなんだ…
そんな事を思いながら「うん…」と返事する。
「私なんかしたかな…」
「…さあ、気にしなくてもいいんじゃない?」
「そうだね…」
明らかに落ち込む私。
それを見かねた美和は話を変えた。
「そんなことよりさ!麗華はいつ告白するの?」
「え?!告白!?」
「蓮!!好きなんでしょ?」
「な…なんでそれを…」
好きな人の話なんて、恥ずかしすぎて素でいられる美和にでさえ話してなかった。
「麗華さ、わかりやすすぎるよ。
ずっと蓮の事見てるじゃん!」
「気付いてたんだ…」
「麗華から言ってくれるの待ってたけどもう限界!!
早く告白しなよ!!」
「そんな…告白なんて…!」
「だって、もう11月になっちゃうよ?
そしたらすぐ12月になっちゃうよ?
クリスマスだよ??
学園祭でも何も出来なかったでしょ、このままだと誰かに取られちゃうよ!!いいの?」
「!!…それは嫌だけど…」
クリスマスなんて、2ヶ月も先なのに半ば強引に納得させようとする美和。
「あたしはね、中学の時みたいに麗華にツラい思いしてほしくないの!」
「美和…」
中学の時、好きな人に彼女ができた事を知った私は美和に泣きついた。
好きな人がいることすら言ってなかったのに、何も聞かずに側にいてくれた美和に本当に感謝している。
あの時、美和がいてくれて良かったな…
なんて思っていたら
「よし、そうと決まれば早く告白しなきゃ!」
そう言って美和が立ち上がる。
「え?!まだ決めたわけじゃ…「蓮〜〜!」
売店から出てきた高橋くんを見つけた美和は、食べ掛けのお弁当を置いて私の腕を引っ張って走り出した。