噂の年下男
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「紅、お疲れ様」
日本に帰ると、笑顔のたーくんが迎えてくれる。
中年で、無精髭が生えていて、ビールっ腹で、全くかっこよくない。
だけど彼が、あたしのねだったブランドバッグを持って嬉しそうに笑っていると、ホッとする。
あたしは愛されているのだと感じた。
こんな自分のダメな恋愛はさておき、人の恋愛相談に乗ることは得意だった。
例えそれが弟の彼女でも。
弟が連れてきた彼女は、ごく普通の女の子で。
モテモテの弟の意外なチョイスに、正直ホッとした。
弟に惚れている彼女は、しおらしくて可愛くて。
そんな彼女を憎むことなんて出来なくて。
弟と上手くいって欲しいと、切に望んだ。
こんなあたしは、弟のことが嫌いな訳ではないのだろう。
……僻んでいる。
あたしの恋を滅茶苦茶にするくせに、自分はちゃっかり彼女とラブラブなんだから。