噂の年下男
何とか人を振り切り、逃げた先の細い道で、俺たちは肩で息をしていた。
久しぶりに全力疾走した。
まだまだ身体は若いはずなのに、死にそうにキツい。
それなのに、
「お前ら、何ヘタレてんだ?」
優弥はピンピンして俺らを睨み下ろす。
この様子に、高校時代の部活を思い出さずにはいられなかった。
優弥は俺たちを睨み下ろし、なおも暴言を吐く。
「こんなことで疲れてたら、ライブはどうするんだ?」
結局そこだ。
優弥の頭の中は、ライブと新曲のことしかない。
そこに、今はねーちゃんが入り込んでいるらしい。
ライブに新曲にねーちゃん。
……恐ろしい。