噂の年下男
先輩は、ぽかーんとしてあたしたちを見ていた。
そんな先輩に、優弥は礼儀正しく言う。
「紅の弟は僕の友達で……」
やめて……!!
「紅は僕の恋人です」
そんな優弥に、
「妄想乙!!!」
噛み付かんばかりの勢いで、吐き捨ててやる。
すると先輩に、
「戸崎さん」
たしなめられ、慌てて姿勢を正す。
だめだ、このままじゃ、完全に優弥のペースだ。
「紅、今日のフライト、頼むぞ」
あたしは、ありったけの嫌悪をこめて優弥を睨んでいた。
最低だ。
やっぱり、大嫌いだ。
それなのに、胸が熱くて頰が緩むのはなんでだろう。
昨日から、あたし、おかしい。