噂の年下男
改めて優弥を見る。
照明が、金髪を落ち着いた色に染め上げている。
そして、煙草を挟む指先、遠くを眺めた目元、シャツから覗く胸もと……
全てがあたしの心をくすぐる。
身体を甘い痺れで満たしていく。
「なぁ、紅」
不意に名前を呼ばれ、飛び上がりそうになるあたし。
気を紛らわすために、グラスに注がれたワインを一気に口に含んだ。
喉を流れるワインは、さらにあたしを焦がしていく。
そして、あたしの頭を徐々に侵食していく。
もとから、お酒は強くはない。
だけど、馬鹿な飲み方はしないから、悪酔いすることなんてほとんどない。
みっともないでしょ、酔っ払う女なんて。
だけど……
今日は違った。
優弥にドキドキする自分に焦って、流し込むようにアルコールを摂ってしまったのだ。
あたしは……
大失態を犯した。