噂の年下男





濃紺のスーツにネクタイ。

笑うと少し皺の寄った口元に、優しげな瞳。

あたしと同じように、キャリーバックを引いている。

あたしは今日、彼と同じ飛行機に乗っていた。

彼は副操縦士だった。

これまでにも数回、アメリカ行きの路線で会ったことがある。

彼はパイロットの



「竹本さん」



だったのだ。





竹本さんは人のいい笑顔であたしに言う。




「今日もお疲れ様」



「お疲れ様です」




あたしは、竹本さんに頭を下げていた。





< 183 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop