噂の年下男
「戸崎さん、お疲れのところ申し訳ないですが……
僕、もっとあなたの話が聞きたいです」
「え……」
あたしは竹本さんを凝視する。
竹本さんは微かに赤くなって、あたしをまっすぐ見た。
「良かったら、この後ご飯にでも行きませんか?」
竹本さんはきっと、蒼の話が聞きたいんだろう。
そう分かっているけど……
あたしは大きく頷いていた。
頷きながら、頭の中は罪悪感でいっぱいだった。
あたしには、優弥がいるのに。
だけど……優弥とは、正式には付き合っていない。
お試し期間。
それにあたし、優弥なんてタイプじゃないから!
必死で自分に言い聞かせた。
優弥よりいい男が現れたのなら、乗り換えるのは当然だ。