噂の年下男
食事を終え、店を出る。
楽しいけど、優弥について考えさせられる時間だった。
財布を出すあたしに、
「奢ります」
やっぱりそう言ってくれる竹本さん。
理想の男性だ。
それなのに……
あたしは、財布からお金を出していた。
素直に奢ってもらえばいいものを。
だけど、罪悪感でいっぱいだったんだ。
優弥に黙って男性と食事に行って、その上奢ってもらうなんて。
理想の男性竹本さんと食事をして、はっきり分かった。
竹本さんは理想だけど、好きではない。
あたし……
やっぱり優弥が好きなんだ。
優弥は全然理想ではないけど、すごく好きなんだ。
そして、竹本さんと店を出た時……
「うわっ!!」
急に聞き慣れた声がした。
あたしは思わず声のするほうを見ていた。