噂の年下男







なんで……

よりによって、なんでこんなところで会うのだろう。

タイミングが悪すぎる。






あたしの前には、なぜか蒼がいた。

キャップからは、オレンジ色の髪が流れている。

カーキのモッズコートにジーンズ。

派手でもなく、普通の大学生らしい姿だ。

そんな蒼にあたしは言う。





「なんであんたがいるのよ?」



「なんでって……」




蒼はすごく嫌そうな顔であたしを見る。




「もうすぐ唯ちゃんと賢一の誕生日だから、プレゼントを……」




こんな蒼に、やっぱり通行人は気付かない。

だけど、もちろん竹本さんは気付いていて。

頰を紅潮させて蒼を見ている。

そんな竹本さんの様子に、少しだけイラついた。

……少しだけ。



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