噂の年下男
「ねーちゃん……」
嫌々振り向くと、蒼はすごく心配そうな顔であたしを見ていて。
思わず立ち止まってしまった。
「ねーちゃん……
パイロット……カッコイイけど……
すごくカッコイイけど……」
「何よ」
すごく言いにくそうにあたしを見る蒼に、イライラしてしまう。
だけど蒼はあたしに怯むことなく、言葉を発した。
「優弥のこと、中途半端に誑かしたりしないでよ」
そんな蒼をあたしは睨んでいた。
蒼の言いたいことは、すごくよく分かる。
実際、あたしもクールダウンのつもりで竹本さんと食事に来ていたのだ。
まさに、優弥を中途半端に誑かしている状態。
だけど、そうしないとやっていけない。
あたしはもう、優弥に惹かれている。
これは最後の抵抗なんだ。