噂の年下男
「うるさいわね」
あたしは蒼を睨んで言う。
「あたしが誰と付き合おうが、誰と遊ぼうが、あんたには関係ないじゃん!!」
今まであたしは、あんたのせいでふられてきた。
そんな言葉が、喉元まで出かかった。
「だけど……」
蒼は泣きそうな顔で言う。
「優弥、ああ見えても根っからの悪人じゃないんだよ。
ねーちゃんのこと、本気なんだよ。
だから……
ねーちゃんが優弥のこと遊びなら、俺はねーちゃんなんて嫌い」
「望むところよ」
あたしは蒼にすごんでやる。
蒼のくせに、生意気なこと言いやがって。
蒼、そんなにも優弥が大切なの?
……羨ましいよ、あんたは素直で。
「竹本さん!行きますよ!!」
あたしは踵を返し、蒼に背を向ける。
そして、困った顔の竹本さんを促し、足早にその場を去った。
蒼に言われなくても分かっている。
竹本さんじゃ、駄目なんだ。
あたしの心はもう、優弥のものなんだ。
……すごく悔しいけど。