噂の年下男






優弥はストラップを外し、ギターをスタンドにかける。

そして、ゆっくりとあたしに歩み寄る。

派手な外見なのに。

タイプじゃないのに。

彼を見るだけで、胸が熱くて、顔がにやける。







背の高い彼を見上げるあたし。

あたしを見下ろす彼は、やっぱり優しい顔をしている。

そんな優弥を見ると、愛しいという気持ちが溢れてきて……

あたしに向かって手を伸ばす優弥の胸に、飛び込んでいたんだ。





蒼がいるのに。

慎ちゃんや賢君だっているのに。

そんなのお構い無しで、優弥を抱きしめる。

痩せていて、ほどよく筋肉が付いている彼。

いつものシャネルの香水。

全てがあたしの心をくすぐり、好きという気持ちを大きくする。

あたしは、優弥の腕の中で幸せを噛み締めていた。




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